2019/04/30

【IIDX Rootage】万年中伝、最後の戦い

前回のあらすじ

万年中伝を患った自分は絶望していた。
奇跡的に皆伝の端に触れかけ、
しかし零れ落ちて行ったからだ。


前回の記事:「万年中伝の我輩が見た段位認定の深淵」


















あれから、
冥の難所最終盤で無様に
散った日から暫く経った。
その日からプレイ出来る日は
毎日皆伝に挑んでいるように思う。
スタンダードプレイの際も
狂ったように3曲目冥、
4曲目卑弥呼を繰り返す。
何をやっているか察しがつく者が
その姿を見ると、さぞ悲壮感を感じただろう。
自分が第三者目線で視てもそう思う。

自分の限界を少し超えた速度、
ハイスピード9速。
緑数字は293、と常に決めていて、
スコアが残せるベストは8速。
しかし高密度の場合は見えなくなってしまうので
皆伝を目指す際はスコアと安定性を
犠牲にして9速を選んでいた。
マイナス50以上を刻むベストスコア、
本当に少ししか手応えを感じない進捗、
前に進まない皆伝突破への道。
苦々しいクレジット消費が続いた。


加齢につれて日の調子にムラが出るようになっていたが、
その日はそれが上方に向いていた。
たまには気分転換に、と選んだ
エレクリで危なげなくイージークリア。
ミスカウント自己ベストかはわからないが、
何しろ全編に渡って「見えて」いた。
直後の卑弥呼で久々に
アシストクリアラインに乗った。

皆伝挑戦依存症になっていた自分が
この日、皆伝に挑まないわけがなかった。
珍しくほとんど人がおらず連コ可能だった。
熱が冷めない……覚めない内に
段位認定コース、皆伝をスタートさせた。

今日は見える。確実に見えている。
恐らく腕前だけで言うと皆伝底辺には
到達しているであろう手さばきの調子は
いつも通り。見えるかどうかでまるで違う。
珍しく危なげを感じなかった嘆き、32%。
いつもなら落ちるぐらいトリルでハマったが
踏みとどまった灼熱、14%。
発狂からの低速時に自分でも驚く程
落ち着いていた卑弥呼、52%。
過去最高のゲージを保ったまま、冥に挑む。

序盤のよくハマると聞く地帯、問題なし。
少し落ち着く高速地帯、いつも通り。
低速地帯にはほぼ100%で突入した。
しかしここで問題が発生する。
調子も認識力も超越した緊張感、
焦りが襲ってきたのだろう。
連打地帯に入る前の言わばどうでもいい
低速地帯で凡ミスが出始めた。
ダメな時のパターンというやつだ。
それでも今日の自分のスペックを発揮し、
耐えに耐え……


かつてと同じ箇所で力尽きた。
加速抜けのフレーズが一瞬聞こえた、
あの場所だ。


激しい脱力感に見舞われた。
何だかフワフワしていた。
悔しい、というよりはもうどうしたら良いか
わからないという心境だった。

時間は23時過ぎ、
フワフワしたままカードを認証させた。
普段ならもうクレジットを入れない時間だ。
そのままなんとなく、もう一度皆伝を選んだ。

さっきのプレイ中は集中力が
研ぎ澄まされていたのだと思う。
いつもより上手い自分がいつもより
イメージ通りに譜面を捌ける、
理想的な状態だったはずだ。
冥に到達するまでは。

今回は集中力もクソもなかった。
神経をすり減らし切ったような感覚だった。
頭の中はかなり余計な事を考えていた。
今の自分になぞらえて泣きの一回、
土下座している帝京野球部の事を。
侍ジャパンに土下座中も
クソ煽られているタカの事を……
(TAKAの事ではないよ)
リアル野球盤の事を考えたりした結果、
灼熱以外は前回より確実に悪い
ミスカウントが残った。
嘆きに至ってはデニムで一瞬2%が見えた。
凄惨な様相だったが冥挑戦への権利は残った。

心境的な準備は全く出来ていない。
ただ、メンタルと工夫にだけ
課題が残っている事は自覚していた。
半ばヤケクソになっていたので
いつもより過剰に、
思考を捻じ曲げて挑んだ。

低速突入は90%程度。調子は悪くない。
勿論問題はここからだ。
低速地帯への対策、
「初見だという事にする」!
我ながらバカみたいな手法だと思うが、
低速地帯を初めて挑戦する譜面だと
思う事にした。
☆10ソフラン曲に初見でEXH付けて
挑んでしまった時の心境を思い出すんだ。
ほぼ8分餡蜜の超グダグダ進行、
時折見える所だけスキップ気味に16分。
とにかく精度よりボタンを押す数を合わせにいく。

加速地帯に入っても普段と違う手法で挑む。
2%でも残せば勝ちだ、クリアを目指す時と
同じやり方で臨む必要はない。
見えない所は取らない!
皿に届きそうにない時は無視!
webでよく見る段位突破の教えが
今になってようやく自分の中で
実現されつつあった。
ゲージ低下に怯えて嘆きデニム地帯でも
卑弥呼ラス前でも冥発狂時でも
実践できなかった事を今になって、だ。

必死になりながらも曲は進む。
じんわりゲージは下がり始める。
連打はやはり間に合わない。
一小節に10回叩く?か忘れたが
そんな精度はきっと出せない。
ごまかし打ちは全て八分、こぼれ上等、
皿と連打周りのオカズは
なんとなく曲通りの全押し!
反対側の滝はなんとなくついていく。
再発狂辺りのトリルはどこか抜けてた
気がするけど覚えてない。
謎階段まで到達。腕前足りない頃から
得意効果でディアボロ難抜けしてんだ、
今だけで良いから力を貸してくれ度胸兄弟……

無心とは真逆の選択。
最高にゴチャゴチャ考えながら
肝心の部分はついていけず勢いに任せる、
という死亡フラグ全開で挑み……

抜けた。

山場を抜けたのだ。
10〜14%ぐらいを残して。

ゲージの残量とドンビー地帯?が
得意な事もあり、そこからは
完全にウイニングランだった。
いつもは卑弥呼挑戦辺りから
合格したら何て喜びの言葉を形にしようか、
なんて気持ち悪い事を考えているのだが、
今回はそれどころではなかった。
そんな事に気が回らなかった。
多分その時の心の声を文字に落とすと

『はああぁぁぁぁあーァァァ』

とかだっただろう。
声になっていない。

終盤の軸が続く地帯をこれほど
適当に押してしまった事はないだろう。
ドンキーコングの下+Bかという程の雑さだ。
最後の減速をこれほど判定も気にせず
押してしまった事はないだろう。
貧乏症も相俟って、普段は
絶不調の最後だったとしても
一応光らせに行っていたんだ。

残ゲージ68%
達成率66%
リザルトを見ながら放心していた。
歓喜がどうとかより、膝がガクガクし過ぎて
恥ずかしいので抑える事に気が向いていた。
IIDX周りは人がおらず、
ええ歳した大人がゲームクリアして
震えている姿を見られなかったのは幸いだった。
そのまま即、家路についた。
こんな重い想いをそのままblogに載せてもな、
なんて事を考えながら。



晴れて5鍵初代から音ゲーに触れ、
万年中伝として過ごしていた
昭和生まれのオッサンは皆伝底辺になった。
喜びの実感は湧きにくかったが、
自由に選曲している喜び、みたいなものは
感じている。開放感というヤツだろう。

皆伝を取ってから、
スコアもクリアも伸びる手応えを今更感じている。
冥や卑弥呼よりマシ、というイメージが
活きているのだろうか。
反面、間を開けてやった卑弥呼は
かなり下手になっていた。
十年以上の助走に比べて
皆伝としての自分の賞味期限は僅かだろう。
セミの一生か。
アリーナでプロ中伝にボコられているが
然程気にならない。
A(A)がの気持ちが今ならよくわかる。
今出てきたら☆11だとか言われてるけど、お前は☆12だよ。

今から何かまた目標を立てるか、と
考えたけれど止めておく。
十年以上を要したものに並ぶ目標が浮かばない。
そして悲しいが、腕前が落ちていく日は
恐らく遠くない。
余生として音ゲーに触れていくと思う。
ただし気持ちはいつもガチだ。



ある程度割愛するが、
今回を機に感謝を述べたい。

音ゲーを、IIDXを製作している方々、
ゲーセンでメンテしてくれている店員の方々、
私と同じようにクレジットを入れ続け、
この不況にゲーセンを支えているビートマニア諸君。

そしてこのような場末のblogの一記事を
見にきてくれている貴方がたに。

本当にありがとうございます。

月並みだけど、この歳まで皆伝を
諦めなかった過去の自分にも
何か言ってやりたい。
ただし要領もセンスもないから
2019年までかかってしまうぞと
但し書き付きで……。



以上、
平成の終わりに。

3月24日に合格していた癖に文章が浮かばず、
元号変わってまう!と急に必死になった
出張中の筆者より。








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【関連記事】



皆伝とか中伝とかの段位平均スコアを☆12中心にお届け。
SP専で申し訳ないです。

全国トップのスコアを調べたら恐ろしいスコアばかりだった。

#CANNONBALLERSさよなら企画-クリアレート編
やはりRootageではソフラン曲のレートがグロい事になるのだろうか。

https://otosuki.blogspot.com/2018/11/CBWR.html
Weekly Rankingの参加人数を全て集計……
したけどあまりしっくり来なかったという。

万年中伝の進捗見ます?

絶対仕様がおかしいと思ってるんですよ。


#各タイトル別楽曲生存率を調べた
過去曲は大体どれぐらい削除されているかというお話。
そのうちRootage開始時版書きます。

デザイナーについても語りたいんですけど!



2 件のコメント:

  1. おめでとうございます
    自分もRootageでミラー皆伝合格した身として、共感できるものがあります

    返信削除
  2. ありがとうございます。
    何やら運命的な物を感じますな

    ただ正規皆伝は永遠に取れないような気がしております。

    返信削除